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最適計画 - 各最適基準による計画の比較

応答曲面のための実験計画としてD最適などに代表される最適基準に基づいた最適計画を紹介しています。今回は、愚直に得られた実験計画を眺めて(比較して)みます。

各最適基準の比較

一例としてモデルは2次項、交互作用ありで、2変数5水準11試行のD,A,I,G最適計画を比較してみます。2変数で行x列の表形式で表してみます。行、列がそれぞれの変数の水準で表中の数字が実験点数です。

以下に述べる計画について、それぞれ最適基準の計算結果は下記です。
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D最適計画

D最適の場合、5水準(-1,-0.5,0,0.5,1)の実験にしても(-1,0,1)から計画点を選びます。9点あると計画領域を一様にサンプリングできるので、残り2点はモデルパラメータ推定精度の低い計画領域の端点を実験点にしています。
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A最適計画

A最適の場合もD最適の場合同様、(-1,0,1)から計画点を選んでいます。計画領域を一様にサンプリングした後は、中心点を増やしています。中心複合計画の中心点と同様に2次項の推定精度を高めるようにサンプリングしています。
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I最適計画

I最適の場合もD,A最適の場合と同様ですが、中庸です。I最適の場合は計画候補点について全て(平均)の推定精度が上がるように計画を決めるので、この後述べるように実験水準数でも計画が変わります。
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G最適計画

G最適では計画候補点の全てにおいて最も推定予測精度が低い点の予測精度が高くなるように計画を決めます。私のイメージはモグラたたきです。端点をとったあとは、一様に計画領域を埋めていきます。
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I最適基準での水準数比較

I最適基準に限定して水準数比較をします。モデルは2次項、交互作用ありで、2変数11試行の3,5,7水準での最適計画を比較してみます(実験領域は一律[-1,1])。水準数を増やしても-1,0,1のみしか選択しないですが、I最適基準は候補点全てについての平均予測精度を上げるので選び方が異なってきます。

以下に述べる計画について、それぞれ最適基準の計算結果は下記です。
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3水準

3水準の場合、D最適のように端点から計画点を追加します。水準数が少ない場合は、内挿の精度を考えなくてよいので端点の比重が高くなります。
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5水準

5水準が前節と同じですが、中心点近くから計画点を増やしています。候補点全ての予測精度を評価しているので、水準数が変わると計画も変化します。
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7水準

7水準では中心点への比重が高く、中心複合計画に近い計画となります。内挿を重視していると受け取れます。
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まとめ

計算機支援実験計画における実験計画について、計画点の選び方を比較してみました。実験結果も同じですが、愚直に並べて比較するのも理解を進める上では重要と思います。