Engineering Skills

製品開発エンジニアがデータ解析のノウハウを垂れ流します

Fisherの3原則

実験を効率的に行うための理論として実験計画法があります。ここで言う「良い実験」とは、少ない試行数で、より多くの事実が、出来るだけ精度高く、わかるような実験です。そのために効率的な実験を計画し、最適な解析手法をセットで適用することを考えます。

実験計画法の始祖はR.A. Fisherで、以下に示す3つの原則を確立しました。

  • 反復(replication)
  • 無作為化(randomization)
  • 局所管理(local control)

反復

実験を繰り返しましょう。一回の実験では処理により差なのか、たまたまなのかわかりません。実験を繰り返すことで処理のバラツキがわかり、推定結果の精度を上げることもできますし、どれくらいの精度なのか情報を与えることもできます。

無作為化

ランダマイズします。実験を行うにあたって、実験者が気付いていない影響があるかもしれません。例えば、実験の順番、偶数/奇数回目実験の差、実験時の気温/気圧/湿度、測定者の依存性、考え出すときりがありません。

※私が従事する半導体製造プロセスにおいては工程数が多いです。工程数が多いと、上記のような偏りが発生する確率は非常に多く、大抵偏りが生まれ実験結果に対する誤った考察が生まれることになります。個人的には前回の結果など忘れたころに、もう一度実験を行ってみるのも手だと思います。ただし考察時には同様の実験結果は把握しておくべきです。ちょっと矛盾していますが。。。

局所管理

これが一番わかりにくいと思います。ですが重要です。

例えば、さきほど偶数/奇数回目実験の影響差可能性について述べました。ですが、複数回実験を行う場合は、何回目かの実験順番であるかは必ず変わります。どうしたら良いでしょうか?

答えの一つは、「偶数回目の実験」と「奇数回の実験」それぞれにおいて同様の実験を行い、それぞれの中で無作為化を行うことです。これを乱塊法と呼びます。それぞれのカタマリ(塊)のなかで無作為化(乱)を行う方法(法)と思います。

このように、あらかじめ影響が分かっている因子があれば実験の制御下に置くべきです。

※私はこういう所に技術者の経験が生きてくると思っています。泥臭い話ですが、そのためには失敗を沢山する必要もあります。そして過去の実験結果を忘れはしないが、捕らわれないようにしたい。

まとめ

実験計画法の基礎、言うなれば心構えを述べました。①反復、②無作為化、③局所管理、100回くらい念仏したいくらいです。意外と考えていないひとも多いです、是非布教にご協力お願いします!