Engineering Skills

製品開発エンジニアがデータ解析のノウハウを垂れ流します

シグマ(標準偏差)が意味するもの

正規分布における標準偏差(シグマ)ってなんなのでしょうか?

正規分布のパラメータであるシグマについて。

正規分布積分微分

正規分布においては平均μと分散σ2(標準偏差σ)が分かれば任意のxの確率密度が次式で計算できます。

f:id:OceanOne:20200127005803j:plain

exp()の中を確認するとxについて平均との差を取り標準偏差で割っています。つまり平均とのズレが標準偏差の何個分かを見ています。

平均とのズレが大きくなると発生確率は減少していきます。しかし標準偏差が大きい場合は発生確率のそれほど減少しないことになります。標準偏差が大きな分布では平均との大きなズレが発生する確率が高いよ、ということを教えてくれます。

実際にシグマが1.0と1.5の確率分布を図示すると下記のようになります。

f:id:OceanOne:20200206003331j:plain

平均0、分散1(=標準偏差1)の正規分布は下記のようになります。横軸-1~+1が±1シグマに入る分布になり、全体の68.27%がここに入ります。

f:id:OceanOne:20200206000046j:plain

ご自分で検算したい場合は、エクセルで

=NORMSDIST(1)-NORMSDIST(-1)

を計算してみてください。NORMal Standard DISTributionの略と思われます。

ついでに2シグマ、3シグマの範囲ではそれぞれ95.45%、99.73%となります。この辺りの数字は、製品開発や量産にかかわる仕事をしていると知っているべきですし、関わっているうちに肌に染み込んでいきます。

f:id:OceanOne:20200206001106j:plain

f:id:OceanOne:20200206001123j:plain

製造バラツキなどがある場合、標準偏差がわかっていればどれぐらいの範囲に散らばるかわかることになります。また裏を返せば標準偏差はバラツキの指標になるので、標準偏差が小さくなるように開発を行えばよいことになります。

正規分布の変曲点

正規分布の確率密度は、次式でした。

f:id:OceanOne:20200206011332j:plain

この分布の性質を調べるために1回微分と2回微分をとってみます。

まず1回微分

f:id:OceanOne:20200206011544j:plain

f:id:OceanOne:20200206011600j:plain

f:id:OceanOne:20200206011609j:plain

となります。x=μで1回微分は0となり確率密度は極値(極大値)をとることがわかります。つまり平均μが出現する確率が最も高いよ、と当たり前な感じです。

グラフにするとこのような感じです。

f:id:OceanOne:20200206015936j:plain

続いて2回微分を計算すると下記なります。

f:id:OceanOne:20200206012322j:plain

f:id:OceanOne:20200206012332j:plain

f:id:OceanOne:20200206012349j:plain

x=μ±σで2回微分は0となり、標準偏差正規分布の変曲点にあたることがわかります。グラフも載せておきます。

f:id:OceanOne:20200206020413j:plain

標準偏差で変曲点であることを感覚的に説明すると、±1シグマの範囲外では発生確率が急激に減少するということを意味します。つまり実際の管理幅ではないにしても、分布の性質として大多数は1シグマの範囲内に存在することになります。

さいごに

標準偏差正規分布のバラツキパラメータで、確率密度関数の変曲点にあたります。変曲点であることを知ると、なんとなく正規分布の急所のような気がして親しみが出てくくると同時に、大事にしてあげようという気持ちになります。なるのは、私だけですね、はい、すみません。