Engineering Skills

製品開発エンジニアがデータ解析のノウハウを垂れ流します

パレートの法則

経験則の一つですが、パレートの法則について紹介してみます。

パレートの法則

パレートの法則は、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した冪乗則です。パレートは所得分布の不均衡を明らかにした際に、「社会全体の8割の富が2割の高額所得者に集中し、残りの2割の富が8割の低所得者に配分される」という法則を発見。8割の結果は2割の要因から生まれることから、80:20の法則と呼ばれることもあります。パレートの名は多目的最適化におけるパレートフロントにも見ることができます。

f:id:OceanOne:20210512021949p:plain:w350

経済以外にもさまざまな事例に当てはめられますが、法則というよりは経験則です。自然/社会現象は大抵の場合正規分布でなくばらつきや偏りが存在するため、一部が全体に対して大きな影響を持つことが多いです。このことを、パレートの法則の名を借りて数理理論のように説明している場合が少なくないです。思考停止状態ですが、大体この法則に従う事が多いのも事実です。

本ブログ閲覧数で

試みに本ブログで記事と閲覧数の関係で、パレートの法則を確認してみます。下図はとある期間の各記事の閲覧数を閲覧回数が多い記事順で並べたものです。

f:id:OceanOne:20210512031549p:plain:w500

上図について横軸を累積記事数、縦軸を累積閲覧数で集計してパーセント表示してみます。

f:id:OceanOne:20210512032115p:plain:w500

上図から横軸20%での累積閲覧数は85%程度で、確か20%の記事で80%以上の閲覧数がカバーされていますね。パレートの法則、経験則のくせにすごいですね。

今回は横軸項目数が多いので別グラフにしましたが、上記2グラフを組み合わせたものをパレート図と言います。また、これによる解析をパレート分析と呼び、ABC分析と呼ばれることもあります。

パレートの法則の実用

製品開発や問題解決の実務においてパレートの法則から考えられる応用を列挙してみます。

製品不具合のうち80%の原因は20%の要因

開発阻害の80%は20%の要因に起因

開発項目のうち20%が改善の80%に寄与

個人業務の視点からは、下記のような例もあります。

集中している2割の時間で8割は完成

情報収集時間のうち2割で必要な情報量の8割は取得

自分の持つ2割の強みが8割の成果を出力

人脈の2割が8割の成果に寄与

在社時間の2割が8割の成果に寄与

自身のアウトプットについて考えると、「自身のゴールデンタイムを見つける」というのもあります。1日のなかで最も生産性の高い時間帯を見つける、あるいは作る。その時間帯を意識して仕事に取り組む。その時間帯は調子が良い場合もありますし、ディスターブが入らない場合もあるでしょう。

会議運営のファシリテーター経験がある方なら「会議の発言の8割は2割の出席者から」というのも頷けると思います。大規模な会議は議論する場としては適切ではないですね。

まとめ

パレートの法則を紹介しました。この法則は経験則でしかないですが、パレートの法則を意識すると注力ポイントを意識することに繋がります。